印刷した写真の色が違う?
くすまないで綺麗に印刷するコツはあるの?

こんにちは、東美営業部の浅井です。

普段の営業の中で、お客様からこんな声をお聞きすることがあります。

『カメラで撮った写真を印刷したら、色がくすんでしまった』

『ウェブサイトの商品写真の色は鮮やかだったのに、紙のカタログの商品写真は落ち着いた色になった』

『印刷所によって、カタログの商品写真の色が違う』

元画像が・・・
くすんでしまった?

こういったことに対して上手く説明ができず、私も『なぜ、こんなことが起こるんだろう?』と常々疑問に思っていたのですが、実は深い理由があるらしいのです。

そこで、東美でウェブ制作と印刷物制作の両方を担当している、企画制作部の川井シニアディレクターに、このようなことが起こる原理と解決方法を聞いてみました。
また、そのような問題に対して東美が行っている、より美しい印刷への取り組みの例も少しだけご紹介いたします。

色の表現方法には2つある

浅井:パソコンモニターやスマートフォンでは綺麗な色なのに、印刷するとくすんでしまうのってどうしてなんですか?

川井:そもそも、パソコンモニターやスマートフォンと印刷物というのは、色の表現方法が違うんです。
浅井さんは「RGB」「CMYK」って聞いたことありますよね?

浅井:デジカメやスマートフォンで撮影した画像は「RGB」なので、「CMYK」に変換しないと印刷できないのは知っていますが、どう違うのかまでは説明できないです。

川井:それでは「RGB」「CMYK」について説明します。
ちょっと長くなりますが、ここがわかっていないと色がくすむ理由がわからないと思うので頑張って聞いてください。

RGB

パソコンのモニター、スマートフォンのディスプレイなどは「RGB」で表現されています。
デジタルカメラやスマートフォンで撮影した画像も「RGB」です。

RGBは光の三原色と呼ばれていて、これら3つの色の組み合わせで様々な色を表現します。
なぜこの3色なのかというと、ヒトの目の網膜にある3種類の錐体細胞がそれぞれ特定の色に最大限に反応するようになっていて、これらの刺激の組み合わせを脳が色として認識するからです。
(ちなみに鳥は4種類の錐体細胞があり、ヒトよりも多くの色を認識できます)

光の三原色は混ぜ合わせるほどに明度が上がり、最後には白になります。
このような性質は「加法混合」または「加法混色」と呼ばれます。

CMYK

印刷物は「CMYK」で表現されています。

CMYは色の三原色と呼ばれていて、これら3つの色の色素(インク)を混ぜ合わせて様々な色を表現します。
RGBとは逆に色素が光を吸収することを利用して色を表現しているので、色を混ぜ合わせるほどに黒に近づきます。
このような性質は「減法混合」または「減法混色」と呼ばれます。

CMYはそれぞれRGBと補色の関係にあります。
(補色とは一定の割合で混ぜると加法混合では白、減法混合では灰色または黒になる色の組み合わせのことです)

浅井:CMYの後にある「K」って何なのですか?

川井:黒インクです。
Kはキープレート(Key Plate)の「K」です。
キープレートとは輪郭や文字を示すために用いられる印刷版のことで、通常黒インクが用いられていたので、キープレート=黒という意味になりました。
ブラックの頭文字のBを使うとブルーと混同するので、それを避けたのではないでしょうか。

浅井:CMYで黒が表現できるのに、なぜ黒インクを使うのですか?

川井:実際の印刷では、CMYのインクを混ぜて黒を表現することが技術的に難しいのです。
また、黒に近い色を表現するためには多くのインクが必要でコストが上がる・インクが多くなると乾かないなどの問題があるため、これらを解決するために黒インクが使われてます。

浅井:RGBとCMYKの違いについてはわかりました。
RGBは光による表現なので印刷では表せないから、色素で表現するCMYKに変換する必要があるんですね。
でも、RGBとCMYKで色が違ってしまう理由がよくわかりません

RGBとCMYKの色表現の範囲の違い

川井:RGBとCMYは補色の関係ですから、原理的には計算式で変換できます。
しかし発色の原理が異なるので、RGBが表現できる色の範囲よりもCMYが表現できる色の範囲が狭いんです。

川井:このグラフは色度図と呼ばれるもので、色がついているところがヒトが認識できる色の範囲です。
そして、CMYKで示された黄色の五角形部分が印刷で表現できる色の範囲です。

浅井:CMYKはずいぶん範囲が狭いんですね。

川井:RGBについてはいくつかの規格があります。
sRGBは国際電気標準会議が定めた国際標準規格で、一般的なパソコンモニター、プリンター、デジタルカメラなどはこの範囲の色が正しく表現できるように調整されています。
sRGBはCMYKの範囲をカバーしきれていないことに注意してください。
AdobeRGBはより広範囲の色が表現できるようにした規格で、CMYKをほぼカバーしているため印刷物との適合性が高いです。

浅井:RGBに種類があるって、どういう事ですか?

川井:AdobeRGBやsRGBは規格の名前で、この規格をクリアしている装置同士であればメーカーが違っていても、『規格で定められた範囲での色の差異は無いですよ』ということを示しています。
使用する色をsRGBの範囲で抑えておけば、たいていのパソコンモニターやスマートフォンで見たときに色が変わりません。
使用する色をAdobeRGBの範囲まで広げると非常に綺麗な表現が出来るようになりますが、一般的なパソコンモニターやスマートフォンでは色が変わってしまいます。
お金をかけて高度な装置を作れば全ての色を表現することもできると思いますが、通常はコストと必要性が釣り合わないのでやらないですね。

RGB→CMYK変換

川井:通常、RGBをCMYKに変換するとこんな感じになります。

(ディスプレイ用の画像なので正確ではありません。イメージとしてご覧ください)

浅井:赤とか黄色はそれほど変わらないですが、ピンク、青、緑はずいぶん色が違いますね。

川井:これはAdobe Photoshopの「カラーモード」で、単にRGB(AdobeRGB)からCMYK(Japan Color 2001 Coated)に変更した結果です。
元のRGBの色がCMYKで再現できない色域の場合、CMYKにすると濁って見えてしまいます。
写真の場合は、メリハリがなくなり、ぼけたように見えたり、暗くなってしまう場合があります。

浅井:東美でも変換には Photoshopを使っているんですよね?
ということは、やっぱり色がくすんでしまうという事ですか?

川井:こちらの画像を見てもらえますか?

RGB元画像
Photoshopのモード変換のみ
青空や木々の鮮やかさがくすんでしまいます。
東美で変換
くすみをはらい、鮮やかさ、自然な彩度を保ちます。

浅井:モード変換のみのものに対して、東美で変換したものは鮮やかに見えますね!

川井:東美では専門のフォトレタッチャーが、変換の際に写真の色の濃度を上げたり、コントラスト・色相・彩度・トーンカーブ・各種フィルターなどを調整して元の写真の雰囲気に近くなるように補正しているんです。

また、使用目的によって補正方法を変えることもあります。
グルメなのか、ファッションなのか、若者向けなのか、お年寄り向けなのか。
さらには、印刷される紙の質に合わせて色を調整することもできるんです。

東美では、RAWデータからの編集(RAW現像)も可能です。
RAWデータとはデジタルカメラで撮影した際の生データのことで、通常はカメラマンがRAW現像を行って補正をしてからJPEGデータなどで入稿されます。
ここで、補正されたJPEGデータからではなく、印刷を熟知したフォトレタッチャーが生のRAWデータから補正を行うことで、より印刷に適した画像にすることができるのです。

カタログのニーズに合わせて色調補正ができる技術と経験が、東美がプロの写真家に認められる理由なんですね。
私も東美のレタッチャーの技術は、本当にすごいと思っています。

取材を終えて

印刷やソフトウェアの話かと思ったらヒトの目の網膜細胞の話になってどうなることかと思いましたが、そこまで深い知識を持って印刷に携わっているのであれば安心して任せられるなと感じました。

最近では、スマートフォンアプリなどで簡単に色調を修正できるような時代ですが、アプリ任せの調整で魅力ある商品写真にできるかというと、まだまだ難しいのではないかと思います。

写真商品の色は間違いなく売上に影響します。
カタログのユーザーは写真を見て商品の購入を決定されます。
東美では、商品の魅力を最大限にお伝えできるような色調修正や画像処理を行い、御社のお役に立ちたいと思っております。

カタログの写真でお悩みの方、ぜひ東美にお任せください。

このページをシェアする